禁煙したいと思ったら、
まずは禁煙外来を
受診する

禁煙外来

禁煙を成功させるために、禁煙外来を受診することをおすすめします。自分ひとりでチャレンジするより、禁煙外来へ通院したほうが成功率は高くなります。

禁煙外来でできること

禁煙を開始すると多くの場合、イライラ、集中力の低下、頭痛、身体のだるさ、眠気が出現します。禁煙時に出現する症状を抑えるためのお薬が禁煙補助薬です。禁煙外来を受診すると、この禁煙補助薬が使用できます。適切に薬を使用することで症状を抑えられ、禁煙の成功率が上がります。
禁煙外来を受診するメリットは、禁煙補助薬を使うことだけではありません。禁煙を成功させるためのアドバイスも受けることができます。

禁煙治療の流れ

標準的な治療では、12週間に渡り計5回の通院をしていただきます。

初回の診察

喫煙状況、禁煙の準備ができているか確認します。
タバコへの依存度を評価します。
呼気中の一酸化炭素濃度を測定します。
禁煙開始日を決定します。
禁煙にあたっての問題点を一緒に考えます。
禁煙補助薬を選択し、使い方の説明を受けます。

禁煙開始

禁煙補助薬を開始した後に、禁煙を開始します。

2~4回目の診察(2週間後、4週間後、8週間後)

禁煙状況や離脱症状を確認します。
呼気中の一酸化炭素濃度を測定します。
禁煙継続に当たっての問題点を考え、アドバイスを受けます。
禁煙補助薬の副作用が出ていないかを確認します。

5回目の診察(12週間後)

禁煙状況や離脱症状を確認します。
呼気中の一酸化炭素濃度を測定します。
禁煙を継続できるよう、アドバイスを受けます。

禁煙治療で使用できる薬剤(禁煙補助薬)

禁煙時に出現する症状を和らげるためのお薬が、禁煙補助薬です。禁煙外来で処方できる禁煙補助薬には、ニコチンパッチとバレニクリン(チャンピックス®)があります。

ニコチンパッチ

ニコチン成分が含まれた貼付薬です。身体に貼り付けると皮膚からニコチンが吸収され、ニコチンの離脱症状(イライラ、集中力の低下、頭痛、身体のだるさ、眠気)を抑えます。禁煙後の体重増加を抑制することも期待できます。
ニコチンパッチの貼る場所は、腕やお腹、背中などが一般的です。パッチは毎回異なる場所に貼ったほうが、皮膚のかゆみを抑えられます。毎日の貼り換えが必要で、貼り換えのタイミングは基本的に起床時です。ニコチンの影響で夜眠れなくなる場合には、就寝前に剥がして、翌朝に新しいパッチを貼ります。
ニコチンパッチを使用すると体内にニコチンが吸収されるため、喫煙したいという気持ちが減ります。ニコチンパッチを使用してもなお喫煙欲求が強い場合は、市販のニコチンガムの併用も検討しましょう。
禁煙治療開始時は、ニコチンが多く含まれたパッチを使用します。禁煙が順調に進めば、徐々にニコチン含有量を減らしていきます。パッチなしでも禁煙を継続できることが治療の最終目標です。治療中、頭痛・めまい・嘔気・嘔吐・動悸・冷汗などが出現した際は、ニコチンの量が多いことが考えられます。その際は、ニコチンパッチをすぐに剥がしてください。

バレクリニン
(チャンピックス®)

バレクリニン(チャンピックス®)は、ニコチン成分を含まない飲み薬です。バレニクリンはニコチンの作用を模倣して、離脱症状を軽減します。再喫煙した場合には、タバコから吸収されるニコチンの作用を阻害し、喫煙で得られる満足感を低下させます。
バレニクリンは、禁煙を始める1週間前から内服する薬剤です。基本的には12週間継続しますが、さらに追加で12週間使用する場合もあります。
バレニクリンの主な副作用には嘔気・嘔吐、便秘、頭痛、異常な夢をみる、眠れないなどがあります。これらの症状は出現しても軽度であることが大半です。特に嘔気は一時的で、自然に消失する場合がほとんどです。
バレニクリンを使用中に、めまい、眠たくなる、意識が悪くなるなどの症状が出現することがあります。そのため、この薬剤を使用している間、自動車運転や危険な作業は控えなければいけません。

健康保険で受けられる禁煙治療

初回の診察時に条件を満たしていると医師が判断した場合は、禁煙治療に健康保険が適用されます。健康保険が適用される条件は、次の通りです。

健康保険で禁煙治療を受けるための条件

  • ただちに禁煙をしようと考えている
  • ニコチン依存症のスクリーニングテストで5点以上*
  • 35歳以上の場合、ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上である(35歳未満の場合、この要件は満たす必要がありません)
  • 文書において禁煙治療を受けることに同意している

*以下の「ニコチン依存症のスクリーニングテスト」で、10個の質問のうち5個以上で回答が「はい」だった場合に該当します。

問1.
吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか?
問2.
禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか?
問3.
禁煙や本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくて、ほしくてたまらなくなることがありましたか?
問4.
禁煙や本数を減らしたときに、次のいずれかがありましたか?
(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
問5.
問4の症状を消すために、またタバコを吸い始めたことがありましたか?
問6.
重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか?
問7.
タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
問8.
喫煙することで神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出現したりすると分かっていても、タバコを吸うことがありましたか。
問9.
自分はタバコに依存していると感じることがありましたか?
問10.
タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか?

健康保険の適用外と判断された場合は、全額自己負担になりますが、同様の禁煙治療を行うことが可能です。

禁煙治療で大切なこと

禁煙のプランを立てる
まずは、禁煙を開始する日を具体的に設定します。概ね2週間以内に設定しましょう。
禁煙を開始したら、アルコールを控える
飲酒を契機に、喫煙を再開してしまう方が多くいらっしゃいます。禁煙を成功させるためには、当面の間はアルコール摂取を控えることも重要です。
周囲に喫煙者がいる場合は、対処方法を考える
周囲で喫煙をしている方がいる場合、その様子をみて喫煙を再開してしまうことが多くあります。距離を保つ、喫煙をしているところに近寄らないなどの対応を考えておく必要があります。
過去に禁煙に失敗した経験があれば、その経験を活かす
過去に禁煙に失敗した経験がある場合、その経験を活かすことが重要です。喫煙を再開してしまった経緯を振り返り、同じことを繰り返さないための対策を講じれば、禁煙の成功率が上がります。

なぜ禁煙が必要なのか?

喫煙は肺気腫(COPD)の最大の原因です。喫煙が肺がんの原因になることも有名です。肺がん以外にも咽頭、喉頭、口腔のがんの原因となります。喫煙の影響はそれだけにとどまりません。血管にも影響を及ぼし、動脈硬化のリスクが高まります。狭心症・心筋梗塞、大動脈瘤、脳梗塞などの原因となります。
喫煙の忘れてはならない一面が、「受動喫煙」です。たばこを吸っている本人だけではなく、その周りの人にも喫煙は悪影響を与えます。受動喫煙の影響を最も受けやすいのは、一緒にいる時間の長いご家族です。大切なご家族の方も守るためにも、禁煙することが大切です。
当院は、禁煙のお手伝いをすることができます。禁煙をしようと思われたら、お気軽にご相談ください。