花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)は、鼻の内部でアレルギー反応が生じることで、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが起きる病気です。10~20歳代で発症することが多いとされます。毎年同じ時期に症状が出現することが特徴です。花粉症になると、「集中力が下がる」など生活に支障が出ることがあります。治療で症状を緩和できれば、快適な日々を過ごせるようになります。
花粉症で多くみられる症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです。その他にも鼻のかゆみ、眼のかゆみ、嗅覚低下が出現することがあります。アレルギー性結膜炎を合併することも多く、眼のかゆみを生じることもあります。
花粉症の原因は、花粉に対するアレルギーです。もともと気管支喘息やアトピー性皮膚炎などをお持ちのアレルギー体質の方が、花粉症になりやすい傾向があります。
アレルギー反応の原因は、植物の花粉です。主に春先(2~5月頃)にはスギやヒノキの花粉が飛散します。花粉症になる方が最も増えるのは、この時期です。春先以外にも、初夏にはカモガヤなどのイネ科の花粉が、秋にはヨモギやブタクサの花粉が飛散します。そのため春以外にも、花粉症の症状が出ることはあります。
花粉症の特徴は、症状の出現する時期が限定されていることです。症状が1年を通して出現する場合は、通年性アレルギー性鼻炎が疑われます。その場合、アレルギーの原因は花粉ではなく、ハウスダスト・ダニ・カビ・ペットの毛などであることが想定されます。
花粉症は出現している症状により、①くしゃみ・鼻水型、②鼻づまり型に分類されます。
くしゃみ・鼻水型の場合、抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイドが使用されます。鼻づまり型によく効く薬剤は、抗ロイコトリエン薬、血管収縮薬配合の抗ヒスタミン薬などです。アレルギー性結膜炎による眼の症状がある場合は、点眼薬(抗ヒスタミン薬、ステロイド薬等)を用います。
薬物治療の他にも、アレルギーの原因となっている花粉を避けることも重要です。花粉の飛散量が多い日に外出を控えると、症状は軽減します。どうしても外出しなければいけない時には、マスクとメガネを着用する、花粉が付着しにくい衣服を着ることも有効です。自宅へ帰った際には、家に花粉を持ち込まないよう衣服や髪についた花粉を払い落とすようにしましょう。
なお、毎年花粉症に悩まされている場合、原因となる花粉が飛散する前の2週間程度前から、治療薬を使用することも有効です。この治療を希望される方は、花粉飛散時期の1ヵ月程度前にご相談ください。花粉症の症状が続いている間は、「集中力が下がる」など生活に影響が出ることが報告されています。生活の質を下げないためにも、早めの薬物治療をご検討ください。
著者上原和幸
循環器専門医、総合内科専門医、内科指導医。日本医科大学医学部卒業。日本赤十字社医療センターで初期研修(内科プログラム)を行う。同院循環器内科で勤務後、日本医科大学付属病院 総合診療科 助教に着任。日本赤十字社医療センター循環器内科 非常勤医師を兼務。
主な資格
循環器専門医、総合内科専門医、内科指導医、臨床研修指導医、日本赤十字社認定臨床医、日本病院総合診療医学会認定医、日本旅行医学会認定医
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